トロヤ戦争の開始 先ずは口上から始まりますね。使者としてオデュッセウスとメネラオスがヘレネの返還を求めに行きますが、体よく断られてしまいます。ここに10年続くトロヤ戦争がはじまります。この戦いでは両軍団のの卓越した英雄が決着のつくことを常に防ぎ続けていたようです。この英雄とは、トロイア側のヘクトル対するスパルタ側連合軍の方はアガメムノン・オデュッセウス・アキレウス・パトロクロス・・・ずいぶんいます。トロイア方にはアマゾンの女王ペンテシレイア Penthesileiaとか、さらにはエチオピア王メムノンなどが来援するなど大勢の参加者があるのですが、この戦争最大の英雄アキレウスに倒され手しまいます。 さて、なにやらだらだらと戦いつづけ、10年目に突入するとホメロスの叙事詩イーリアスにうたわれる、トロヤ戦争末期の約10日がやってきます。 この最後の劇的な10日間の幕開きは、アガメムノンとアキレウスの不和より始まります。 ちょっと寄り道してアガメムノンやアキレウスについて述べておきましょう。アガメムノンはアトレウスの子で、スパルタの城主メネラオスの兄にあたるミケナイの王のようです。クリタイムネストラを妻とし、彼女との間にはイフィゲネイア、エレクトラほか三人の娘と息子オレステスをもうけました。全般的にこの英雄は武勇や知謀はあまりパッとしません。どちらかというと誇り高さと威厳が常について回るという立派さが買われていたようです。ですから総大将向きだったのでしょうね。でも、トロヤ戦争では結構利己的で優柔不断でアキレウスの引き立て役だった感じですね。 アキレウスの方はトロヤ戦争最大の英雄でしょう。プティアの王ペレウスと女神テティスの子ですね。テティスはアキレウスを不死身にするため、赤ん坊のアキレウスをかかとをつかんで頭から冥界の川スティクスに浸しますが、つかんでいたかかとだけが不死身にならなかったのです。そして、トロヤ戦争勃発の直前、アキレウスの運命を知った女神テティスはアキレウスを女装させ、スキロスの王リコメデスの館に隠します。しかし、アキレウスなしにはトロヤ戦争に勝てないとの予言により英雄を捜し歩いていたオデュッセウスによって見出されます。まあ、リコメデスの館の娘たちの前に美しい衣装やすばらしい装身具とともに、立派な武器を並べ、それに引かれて、アキレウスだけが武器をつかんだためばれてしまうのですがね。寄り道はこれくらいにしましょう。 さて、アガメムノンとアキレウスの不和の原因は美女ブリセイスことヒッポダメイアをめぐるものでした。詳しく述べると、アガメムノンがミューシアのテーベの町を攻めたときにその地のアポロン神殿の神官クリューセースの娘クリューセーイスことアステュノメーを戦利品として得えたことから始まります。神官クリューセースはアガメムノンの陣営に身代金と娘の交換を求めますが、拒絶されたため、アポロンへ祈りをささげます。そして、アポロンはアガメムノンの陣営に疫病を送り、アガメムノンは仕方なしに娘を手放します。そして、代わりに手をつけたのがアキレウスの下にあった美女ブリセイスことヒッポダメイアです。このことに怒ってアキレウスは戦線を離脱します。このときアキレウスの親友であるパトロクロスなども同様に戦線離脱を図ります。これによってギリシャ方の軍の旗色は悪くなっていきます。 さらに悪いことに、アキレウスの母である女神テティスは、ゼウスに対して、息子の不在の間トロヤ軍が力を盛り返すようにと嘆願します。この願いにより、ギリシア軍は大敗北を喫することになります。ここで困った総大将アガメムノンは莫大な代償によってアキレウスを買収しようとしますが、これをアキレウスは拒絶します。これによって、ギリシャ方の敗北が決まったかのようにみえましたが、見るに見かねたアキレウスの親友パトロクロスがアキレウスの武具盗み出し?借り出して、出陣します。一時はトロイアの城門近くまで進撃し多くのトロイアの英雄を討ち取りますが、ゼウスの差し金かアポロンの意地悪か武運拙く、ヘクトルに討たれてしまいます。ここに、アキレウスの鎧とパトロクロスの亡骸は一時トロイア側の手に落ちますが、パトロクロスの亡骸はメネラオスなどの働きにより奪還され、盛大な葬儀と追悼競技会が行われます。鎧を失ったアキレウスは母である女神テティスに頼んで、火神ヘファイストスに鎧を新調してもらい、葬儀の翌日アガメムノンと和解し戦場へと赴きます。 |